精密加工技術コラム
2023年12月02日
研削加工とは?研磨加工、切削加工の違いをご紹介!
研削加工と切削加工の違いとは?
切削加工と研削加工は、金属やプラスチックなどの材料を形作る際に使用される工程です。しかし、それぞれのプロセスは異なる方法で行われます。切削加工は、旋盤、フライス盤、ボール盤、ドリル盤などの機械を使用して、刃物を使用して材料から削り取り、要望通りの形状を形成する方法です。切削加工では、回転する工具が材料を削り取るため、削り取り屑が発生します。一方の研削加工は、砥石や研削盤と呼ばれる機械を使用して、材料を摩擦や圧力で削り取る方法です。研削加工は、非常に高い精度と仕上げを必要とする場合に使用されます。研削加工では、削り取り屑が発生しないため、研削された表面は非常に滑らかで、精密な寸法や表面仕上げが必要な部品の製造に適しています。
研削と研磨の違いとは?
研磨加工は、研磨材や研磨剤を使用して、材料表面を磨く方法です。研磨加工は、表面の仕上げを改善したり、材料表面の微細な傷や欠陥を除去するために使用されます。研削加工は砥石を使って削る加工に対して、研磨加工は削る量を少なくして砥石や砥粒ペースト・サンドペーパーを使って磨く加工となります。研削加工と研磨加工は、両方とも材料表面の仕上げを改善するために使用されますが、研削加工は切削によって表面を削り取るのに対し、研磨加工は研磨材によって表面を平滑化します。
研削加工の種類について
研削加工には、以下のような種類があります。
❶円筒研削(円筒研磨)加工
回転する円筒状の材料を削り取る加工方法で、軸受け、シャフト、バルブ、ピストンなどの部品の製造に使用されます。当社は通常の円筒研削加工にて対応することが難しい段付き加工やテーパー加工において、プロファイル研削盤に円筒装置を搭載することで、±2μmの超高精度な加工を行うことが可能です。
❷平面研削(平面研磨)加工
表面を平面に仕上げる加工方法で、鋳物や鍛造品の表面加工、精密工作機械部品の仕上げなどに使用されます。当社は寸法精度から平面平行度ともに±2μmまで対応可能です。材質にもよりますが、ゼロ狙いにも対応可能です。また、大小合わせて6台の平面研削盤を用いて、一般鋼材の他ステンレス、アルミ、超硬、セラミックス、ガラス等の幅広い材質の加工にも対応しております。
❸成形研削(成形研磨)加工
特定の形状の部品を削り取る方法で、砥石を特定の形状に成形することで、独自の形状を持つ部品を製造できます。当社はプログラムを構築して3次元や2.5次元で加工することで、砥石を成形することなく溝加工や段加工や角度加工を実現します。この工法によって、寸法誤差が無くなるので精度向上と加工時間の短縮による高精度品をコストダウンに貢献します。
❹プロファイル研削(プロファイル研磨)加工
砥石を特定の形状に成形し、材料を削り取ることで、特定の形状の部品を製造する方法です。レンズや工作機械部品、歯車などに使用されます。当社のプロファイル研削盤には円筒装置を搭載しているために、丸物等も高精度に加工することが可能です。通常の円筒研削加工では難しい高精度なテーパ加工やR加工、その他様々な形状が加工可能です。さらに砥石成形時間不要のため、スピード加工を実現することが可能です。
研削加工の代表的な事例をご紹介
①超硬製 打ち抜きパンチ(先端穴φ0.1)
こちらの打ち抜きパンチは先端形状が68°のテーパーで、先端外径φ0.12に対してφ0.1の穴を設けた非常に薄い形状をしています。先端部は摩耗によるバリの発生を懸念されるために耐摩耗性のある超硬にて接着しています。全てを超硬にて製作することにより更なる耐久性を実現することも可能ですが、こちらの事例では分割方式で製作することによるコストダウンを実現しています。
②先端径φ0.1 微細ピン
こちらの超硬ピンは2段形状になっており、先端形状はφ0.1で2段目はφ0.3の微細形状となっています。このような高精度が必要となる加工には当社はプロファイル研削加工で対応しております。当社のプロファイル研削盤には円筒研削装置を載せておりますのでミクロン精度の加工でも対応が可能です。
③超精密 打ち抜き金型(形状公差±0.002mm)
こちらの超硬製の打ち抜き金型は、下型プレート部分の形状加工はワイヤーカット加工にて行っております。打ち抜く材質や厚さによって打ち抜き品の精度は異なりますが、金型としては±0.002mmの高精度加工を実現しています。また、下型プレートの形状とパンチ部のクリアランスは±0.002mmで製作しております。
④超硬製 精密プレート
こちらの精密プレートは平面研削加工をした後に、ワイヤーカット放電加工と細穴放電加工で加工精度±0.005mmまでに仕上げています。研削加工で重要なこととして製品と接する先端が常に尖った新しいものになる自生作用があります。超硬の場合には切屑が粉状かつ細かくためにこの自生作用が進まず、目づまりが早く起きてしまい切削性が低下してしまいます。
⑤外周22分割 精密ギア
上部全てをテーパー加工で仕上げた超硬ギアです。テーパー加工は傾斜角が大きくなるにつれて加工範囲の広範囲化に伴う加工時間の延長と加工不安定化に伴うコストアップが懸念されます。これを踏まえて、テーパー加工においては可能な限り角度を小さくなるように設計することが重要となります。
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