技術提案事例
Q. ワイヤーカット加工において、角部Rの加工に時間がかかってしまいます。
A. 太いワイヤー線で加工できるように、角部R形状の設計変更することで、加工時間を短縮できます。
超硬合金などの高硬度材の加工には、ワイヤーカットを用いて加工する場合があります。
ワイヤーカットでの加工の特徴として、角部にワイヤー線の半径に比例したRが発生します。
図(Before)のように、角穴をワイヤーカットで加工する際に角部のRを0.1以下にする場合、φ0.15以下のワイヤー線を使用しなければなりません。
Rを小さくするためには、ワイヤー線径を細くする必要がありますが、ワイヤー線径が細くなればなるほど、加工時間が長くなってしまうため、リードタイムが増加につながります。
そのため仕様上問題がなければ、角部Rの形状をR0.12以上に設計変更することで、φ0.2のワイヤー線での加工が可能になり、加工時間を短縮することができます。
R0.12以上に設計変更する理由としては、ワイヤーカットは放電ギャップにより、ワイヤー線径の半径+0.01mm~0.02mm程度のRがついてしまうため、φ0.2のワイヤー線で加工するとなると、Rが0.12以上になるためです。
ワイヤーカットでの加工において、ワイヤー線径を細くすることでRを小さくすることはできますが、ワイヤー線径を細さに反比例して、加工時間が増加してしまうため、仕様上問題がなければ、可能な限り太いワイヤー線を用いてワイヤーカットを行えるように、設計変更することが加工時間短縮・リードタイム短縮につながります。